われらまちの農縁団!!

プロフィール

八坂 博信

一般社団法人 知財事業化協会:事務局長/ビジネスプランナー
「食と農林水産業の地域ブランド協議会」(農水省):地域ブランドアドバイザー
農商工連携等人材育成事業(厚木商工会議所):専門指導員
一般社団法人 首都圏産業活性化協会:登録専門家(コーディネーター)
一般社団法人 五観の会:理事
株式会社 ル・ヴァンプランニング:取締役

【出身地】
佐賀県武雄市(1953 年生まれ)

【職歴】
○外食業界(珈琲専門店、居酒屋、焼肉店等の新業態開発、FC の企画推進)
○呉服業界(富裕層を対象とした販売戦略の企画推進)
○駐車場業界(駐車場不足解消のための簡易立体駐車場の普及促進)
○住宅管理業界(アウトソーシングニーズを利用した社員寮・学生寮の事業拡大)
○高齢者福祉業界(共済会の設立・運営、シニアハウスの業態開発)
○広告業界(各種企業の広告戦略、マーケティング戦略、CI 等の企画)
など、中小・大手企業の経営企画、広告宣伝、販促企画部門に所属し、時代の先端を行く多くの企業の成長戦略に関与する。

《コンサルティング活動》
平成18 年より 有限責任中間法人知財事業化協会(現・一般社団法人 知財事業化協会)の事務局長に就任し、中小企業を中心に経営指導を行なっている。
実績:
a. 顧客サービスの強化(NTT 東京電話帳 株式会社)
b. まんがコンテンツのマーケット開発(株式会社 マンガネットワーク)
c. 事業連携による地域活性化⇒カーたび機構設立(社団法人 日本観光協会)
d. 東京都再開発事業(市場)企画(市場研究会/株式会社 博報堂)
e. 震災疎開パッケージの企画調査(財団法人 都市農山漁村交流活性化機構)
F. 地域活性化(村おこし事業)企画(財団法人 都市農山漁村交流活性化機構)
g. 高齢者見守り支援システムの構築(NPO 法人 在宅療養支援推進協会)
h. 農商工連携等人材育成事業の企画&講師(株式会社ジーピーエス)(厚木商工会議所)ほか多数

ページ上部に戻る

コラム

「東京青果(株)」の戦略を聞いて

青果物取扱い高日本一を誇る、東京青果(株)の宮本修専務のお話しは、地域ブランドアドバイザーをしている私にとっても、大変参考になりましたのでお伝えしたいと思います。
(1)日本の野菜の生産、流通状況の変化について…
日本国内での野菜の生産量は年々減少し、2010年には約1100万トンとなり、20年前と比べると約5割減だそうだ。そして、東京中央卸売市場の取扱い量も、2割減の153万トンとなってしまったそうだ。
野菜の生産量が減った原因は、生産者の高齢化による農業の廃業。廃業した農地は、宅地に転用されたり、耕作放棄地として荒れ地になっているところも多い。
(2)卸売り会社としての危機感から始まった取組み…。
野菜を扱う東京青果は、国内の野菜生産を拡大するため、2008年に産地開発室を社内につくった。産地開発室のテーマは「地方野菜の掘り起こし」。特に、地方で消えつつある野菜を再び栽培してもらうことに力を注いでいる。
産地開発は、東京青果と産地、種苗会社、小売り業者が一つのグループとなって取り組んでいる。産地開発は生産者の心を動かす活動なので、コミュニケーション能力がたいへん重要になる。そこで、退職したOBを再雇用して種苗会社と一緒に出向き、生産品目を提案しているそうだ。
(3)東京青果の事業ビジョン…
東京青果は、全国各地の埋もれた野菜を掘り起こし、生産者に栽培していただき魅力ある“ブランド野菜”として販売する。(例:加賀野菜、京野菜など。金額では3億円と全体の売上からすると小額だが、存在感はたいへん大きい)
宮本専務は言う。『地方に眠っている魅力ある野菜を掘り起こし“ブランド野菜”として確立し、いかに宣伝し、販売していくかが、我々の仕事です。ロットの大小の問題じゃない。逆に、よそでは扱っていない野菜を独占できれば、商売にとってプラスですよ。』さらに…『市場側も競争です。生産者にはきちんとお金を取ってもらわなければいけません。つくる人がいなくなれば、我々も生きていけませんから…。』

ページ上部に戻る

TPPに関する講演の要旨と私見

 先日、TTP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関連する講演を聴く機会がありましたので、そこで話された内容のご紹介と私なりの考えを述べさせていただきます。
講師は、キヤノングローバル研究所の山下研究主幹でした。山下氏は、東大法学部から農水省に入省し、2008年退省まで農林水産分野の政策の中枢にいたキャリヤ官僚ですが、直接話をすると以外に気さくな方です。
さて後援の内容は、今盛んに議論されているTTPの解説でした。その一部ですが…

  1. 「日本の農業はアメリカや豪州に比べて規模が小さいので、TPPに参加すると価格競争で負けてしまうという論理は間違っている。なぜなら…
    (1)世界最大の農産物輸出国アメリカは、豪州の19分の1しかない。
  2. 農業スタイルが違う国を同じ条件で比較するのはおかしい。
    (1)アメリカは肥沃な農地でとうもろこしや大豆を栽培し、豪州は痩せた牧草で肉牛を飼育している。日本農業は稲作主体である。
    (2)同じ作物でも面積当たりの収量に大きな格差がある。例えば、豪州の小麦の面積当たりの収量はイギリスの5分1しかない。
  3. 国際競争で最も重要なのは品質である。(ブランド化)
    (1)日本の米は最も高い評価を受けている。現在,香港では、日本産コシヒカリは、カリフォルニア産の1.6倍、中国産の2.5倍の価格となっている。
    (2)国内産の同じコシヒカリでも、魚沼産と一般の産地では1.7~1.8倍の価格差がある。
    (3)アメリカやEUは直接支払いという鎧を着て競争している。世界に冠たる品質の米が、生産性向上と直接支払いで価格競争を持つようになると鬼に金棒となる。
    (TTP反対論者は、品質格差を考慮していないばかりか、対象にならない生産物の数値や10年前の生産内容を使って算定した数値で、TTP参加に反論している)
  4. “関税から直接支払いへの移行”という政策転換は、農業保護の手法を変更するだ けで、農業を市場経済に全て委ねるものではない。グローバル化は現在進行している事実であり、反グローバル化を唱えることは問題解決にはならない。…等

ちなみに、山下氏はTTP推進論者ですが、私も考え方には賛同する部分がたくさんあります。
情報が少ない時代は狭い範囲で一つの社会が成立ちましたが、これだけ情報化が進めば国家単位でも他国を無視した社会システムは成立ちません。特に資源の少ない日本の場合、国際取引きを前提にしない経済成長はあり得ません。また、情報化は“自由化”と併行して進んできた経緯があります。そのなかで農業分野だけは、あまりにも長く自由競争の社会から隔離され、“保護”という心地良い政策のもと自らの改革スピリッツすら奪われてきたような気がします。
TTP参加は、時代に要請であり、これまでに培ってきた農業生産技術とそこから生まれる商品の品質の高さ、安全性を世界に示す絶好の機会と捉えるべきではないでしょうか。そして、国は、保護政策にカネと知恵を使うのではなく、農業分野の国際競争力を促すイノベーションにこそ使って欲しいものです。

ページ上部に戻る