われらまちの農縁団!!

プロフィール

根本 泰昌

ワイズティーネットワーク株式会社 代表取締役社長
世界のお茶の専門店Y's tea オーナー
宇都宮街づくり大学 代表
おもてなし紅茶文化普及委員会 会長(国認定)
宇都宮大学非常勤講師 社会起業家大学講師

栃木県宇都宮市出身

大手製薬会社退職後、「紅茶で人と地域を元気にする」為、2006年ワイズティーネットワーク株式会社設立と共に、活性化が急務な地元宇都宮市中心部の商店街(オリオン通り)に、「世界のお茶の専門店Y’s tea(ワイズティー)をOPEN。

「お茶を通じてココロとカラダを豊かに」をコンセプトに、自ら手作業でブレンドしたオリジナルの紅茶や、産地直輸入の稀少な茶葉、更には自ら手摘みした栃木県産の紅茶、製薬会社時代に培った栄養学のやハーブの知識を生かして目的別に自らハンドブレンドした究極の紅茶やハーブティー等を揃える。同時に街づくりにも力を入れ、栃木の名物をイメージしたオリジナル紅茶の作製や、地産地消をテーマにした紅茶の企画や「ご当地紅茶」のプロデュース、プロスポーツチームや企業から依頼を受けブレンドした応援紅茶の作製等をしつつ、市民団体「宇都宮街づくり大学」を2007年に開校、代表を務める。2010年には、「おもてなし紅茶文化普及委員会(国認定組織)」を組成、会長に就任。

紅茶不毛の地での開業、衰退しているが家賃が都内並みに高い商店街への出店、更にCSRありきの起業は、「三重苦」と揶揄される程過酷であったが、創業時の2006年最下位クラスだった宇都宮市の紅茶の消費量が、2010-11年の総務省統計にて2年連続全国1位、栃木県も11年の統計で1位という奇跡が起き、国認定の紅茶委員会が発足するまでに至る。

店舗や紅茶教室の運営のみならず、紅茶・食育・キャリア教育・ストレス対策・まちづくり・農業振興等の講演会や、国内外からの依頼によるオリジナル紅茶の提供、イベント企画等を行う。

※日本財団主催「CSR大賞2010」最終ノミネート
※平成22年度農商工連携認定事業(経済産業省・農林水産省)
※日本紅茶協会「おいしい紅茶の店」認定(平成22年)
宇都宮市街づくり貢献企業(2008年)
※環境に優しい優良認定企業(2009年)
宇都宮市アグリプロジェクト採択事業(2009年・2010年)
※栃木県社会貢献型企業(2010年)
※内閣府地域活性学会 人づくり塾長(2007年)

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コラム

宇都宮産のナシを使った「おもてなし紅茶」で地域ブランド活性

1、生産者との出会い
2008年の春、宇都宮市郊外にある「山口果樹園」さんが、緊張の面持ちで宇都宮市の中心部にある私の経営する店舗「世界のお茶の専門店Y's tea 」にお越しになられた。と言うのは、生産者である山口さんにとって、大きな川を越えて、更に市街地へ足を運ぶというのは滅多に無いことだそうで、更には商業者に何かを依頼をするというのは初体験だったそうだ。
ティータイムを楽しまれた後、私に会いたいと仰った山口さん。実は、ナシ経営に新しい風を吹き込みたいとこのことで、当時より栃木の農資源を活用して新しい商品を開発していた私に、ナシと紅茶のコラボレーションは出来ないかとの依頼であった。
栃木を元気にする為に、宇都宮市の中心部を活性化する為にUターン起業した私にとって、今回の依頼を引き受ける事は当然の事ではあるが、何よりも心を動かされたのは、山口さんの誠実さと熱意、紅茶への敬意、そしてナシへの愛情だった。更に、山口さんは弊社が主催する紅茶教室にも申し込まれ、ご自身も紅茶の勉強をして私達との距離を縮めようとする姿勢にも感銘を受けた。それが今回の成功のルーツであったと言っても過言ではない。
加えて私は、取り掛かる前に簡単なルール決めをした。
(1)完成まであきらめずに取り組む
(2)生産者が主役になる(つまり素材提供で終わらない)
この2つであった。

2、ナシと紅茶の関係
例えば栃木名産のイチゴであれば、独特の香りと味があり紅茶やスイーツへの応用も比較的しやすい。では、ナシはどうかというと、ナシはみずみずしさとしゃりっとした食感が特徴の果物・・・つまり紅茶としてナシの風味を表現するのは非常に難しいのだ。
山口果樹園さんの熱意に快諾したものの、直ぐに「ナシの紅茶は、完成までに時間が掛かると思います」と付け加えたのはその理由だった。
成功へは、紅茶とブレンドする事によって「ナシよりもナシらしい味」の紅茶に仕上げる必要があったのだ。でないと良くある「みやげもの」になってしまい、彼らが紅茶専門家に依頼した意味がなく、Y's tea としてのブランドイメージの低下にも繋がるからだ。
因みに、私の考えではナシの実と皮両方を乾燥させて、実は甘みを、皮は香りをと、役割をそれぞれに与えて紅茶とブレンドするというものだが、「時間が掛かる」と言ったのにはその「乾燥」に関しての事であった。問題点は、
(1)水分が多く、乾燥が難しい
(2)糖度が高く、べたつきにより茶葉とくっついてしまう
そして先述の
(3)ジューシーさと食感が売りの、ナシの「風味」をどう表現するか
の3点であった。
1で述べた「取り決め」通り、山口さんにはナシの提供だけでなく、実と皮の乾燥も担当していただく事にした。これにより「協働作業」の意識がより高まり、お互い行き来する頻度も増え結束も強くなると思ったからだ。
もう1つ拘ったのが、「ナシの品種」だ。実は山口果樹園さんで栽培している9種類のナシ全てを乾燥して紅茶との相性をみたのだ。つまり、前品種を収穫し終えてから最終判断をしようと。その結果、想像以上にナシ毎の個性が紅茶と合わせた時に出ることが分かり、生で食べた時と乾燥した時の印象が変わる事にも驚いた。
2008年も終わりに近づく頃、全品種の試食した結果
(1)味
(2)香り
(3)栃木らしさ
(4)インパクト
の点全てで満点だった、栃木県特有品種のナシである「にっこり」を、紅茶のブレンドに用いることを決定した。大きくて、ジューシーで甘い。そして栃木オンリー品種のにっこりは、主役にうってつけだった。
その後早速にっこりの乾燥形態を試行錯誤し、乾燥試験を始めた。その間、お互い何度も行き来したことは言うまでもない。

3、3年の年月をかけてとうとう完成!
長く掛かると言ったものの、山口さんも私もここまで掛かるとは・・・というのが正直な感想だ。当初の予想通り、乾燥は困難を極め、味は良いものの、水分が抜けていなかったり、べたついてしまったり、乾燥しすぎるとナシの風味が消えてしまったりと、やればやるほど問題点が出てきた。特に夏場の多湿な時期は乾燥には大敵であった。
1年間乾燥について悩んでいる我々に、お世話になっている栃木県の産業振興センターさんから、「乾燥のプロフェッショナルを探しました!」というお話が。
直ぐにお願いをして、土田技術士事務所の土田茂氏をご紹介頂き現状を報告。すると土田氏は、様々な選択肢を彼の豊富な経験からご提示くださり、そのアドバイスを生かして直ぐに実践→結果を報告し、次のステップへ。という行程を3度経て、とうとう理想的なドライフルーツが完成した。しかし、やはり湿度は大敵。ドライフルーツの作業(乾燥)は、湿度の低い時期のみにする事にし、雨天時と夏場は不可とした。
次回、商品の特徴や生産者のコメント等を伝えてきたいと思う。

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