われらまちの農縁団!!

プロフィール

藤田 拓哉

有限会社人事・労務 農業部門/行政書士/特定社会保険労務士

有限会社人事・労務にて、社会保険労務士・行政書士として法律的な観点から、農業分野を中心に活躍。
特に、農業の特性を踏まえたマイナンバー制度対策や、農地法に関連する手続きのサポートに定評がある。
コラム:今後の日本の農産物の海外市場への輸出可能性を考える。

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農地所有適格法人を設立する流れ

農地法の改正によって、平成28年4月から「農業生産法人」の呼称が「農地所有適格法人」に切り替わります。単に呼称が変わるだけでなく、その要件もかわり、より法人化へのハードルが低くなります。
では、法人の設立自体、どのような変化があるのでしょうか?今回は、農地所有適格法人の設立の流れについて、解説をしていきます。

◆農地所有適格法人設立の流れ(株式会社)◆
①発起人の決定・発起人会開催
設立時のメンバーのことを発起人と呼び、発起人の方々が設立後のことを話し合う
公式な場のことを発起人会と呼びます。
②類似商号調査
法人格を有する場合、法人名が必要になりますので、同じあるいは酷似する法人名
を使用している会社がないかを事前に調査します。
③定款の作成(農地所有適格法人設立の場合は、株式譲渡制限の定めが必要)
全ての株式の取り扱いに関しては、株式会社の承認をえなければならないという内
容を、定款の中で定めることをいいます。
④定款の認証
法務局に定款を提出し、認証をえます。期間は約2週間~1ヶ月ほど。
⑤出資金の払い込み
出資金は、発起人メンバーで話し合い決め、口座に払い込みます。
⑥役員等の選任
代表取締役など、役員の選定を行います。その際、役員の過半が農業の常時従事者
(原則年間150日以上)であることが要件に含まれています。
⑦設立手続きの調査
(2週間以内)
⑧設立登記申請
登記事項書類をそろえて法務局に提出します。
⑨設立登記完了
設立登記完了と同時に設立となります。
⑩登記事項証明書・印鑑証明書など必要書類の交付申請
法務局にて申請をします。
⑪農地所有適格法人の適格審査申請と農地法許可申請※
農地所有適格法人とは、その会社組織が農地所有適格法人適格審査要件と農地法3条に規定された許可基準の要件(コラム『農地法改正!「農業生産法人」から「農地所有適格法人」へ!』にて記載)の両方を満たさなくてはなりません。
⑪税務署等諸官庁への届け出

1)適格審査とはその設立した法人が農地所有適格法人たる要件を具備しているかどうかの審査です。
2)次に農地法の一定の要件ですが、農地の所有権、使用貸借権など農地の権利移動のためには知事又は農業委員会の許可が必要になります。農地は農業をするための土地であるため、その法人が確実に農地として使用するかどうかも審査対象になります。

1)2)の要件を満たすことで農地所有適格法人になります。
なお、農業生産法人と農地所有適格法人の要件の変化の詳細は、コラム『農地法改正!「農業生産法人」から「農地所有適格法人」へ!』にて記載しておりますので、合わせてご確認頂ければと思います。

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農地法改正!「農業生産法人」から「農地所有適格法人」へ

皆さんは、「農業生産法人」という名称が、平成28年4月から、「農地所有適格法人」という名称に変わるって、ご存知でしたか?実は、農地法が改正され、名称が変わるだけでなく、要件の規制も緩和されます。

今回の改正に関してまず、国が考える一番の目的は、農業従事者の高齢化の問題や個人所有の分散した農地をどう集約するかという耕作放棄地の問題があると考えます。
前回の改正もその目的に沿った形で、個人だけでなく会社形態の企業が農業分野に参入しやすくする規制緩和が行われました。そして今回の改正もその趣旨にそった形で法改正が行われたといってよいでしょう。すなわち、株式会社など会社法上の企業が農業に参入しやすくなる制度に改正されたということです。

 また、農地法上の要件を満たした、農地を所有できる法人として法律上明確にするために、従来の農業生産法人から農地所有適格法人と名称も変更されました。

 では、その農地法上の要件の変更とは、どのような内容でしょうか?
以下のように比較をしてみましょう。

 【改正農地法「農地を所有できる法人」の要件の緩和】

 まずは、要件のうち、変化のないものについてです。

 ●法人形態要件
・株式会社(公開会社でないもの)、農事組合法人、合名・合資・合同会社

 ●事業要件
・主たる事業が農業(農産物の加工・販売等の関連事業等)が売上高の過半

 

 次に、変更になった要件をみていきましょう。
変更になったのは、以下の二点です。

 ●資本(構成員)要件
《改正前(農業生産法人)》
1)農業関係者※が総議決権の原則として4分の3以上を占めること
2)農業関係者以外※の議決権の4分の1以下は、法人と継続的取引関係を
有する関連事業者等に限定(商工連携事業者等の関連事業者の場合は、
総議決権の2分の1未満まで可能)

 《改正後(農地所有適格法人)》
1)農業関係者が総議決権の原則として、2分の1以上を占めること
2)【新設】農業関係者に農地中間管理機構又は農地利用集積円滑化団体を
通じて法人に農地を貸し付けている個人が加わった

 ●役員要件
《改正前(農業生産法人)》
1)役員の過半が農業の常時従事者(原則年間150日以上)であること
2)更にその常時従事者である役員の過半が
農作業に従事(原則年間60日以上)

《改正後(農地所有適格法人)》
1)改正前から変更なし
2)役員又は重要な使用人(農場長等)のうち1人以上が
農作業に従事(原則年間60日以上)

 上記のように、法改正によって、農業の業界自体への参入が容易になり、一般企業と農家の地域内での協力が促進されるのではないでしょうか?

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話題の「地方創生」を分解する

「地方創生(まち・ひと・しごと創生法)」は、国内人口の減少や東京圏への過度の人口集中、それに伴う地方経済と大都市経済での格差が年々広がる現状と将来予測に基づき、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために制定されました。

これまで、地域活性化の対策の法としては、例えば平成17年の地域再生法があります。この法律は地方自治体が施策に対して補助金など支援措置が受けられることを主たる目的とする法律でした。今回、まち・ひと・しごと創生法と並行してこの法律も改正に至り、いよいよ、現実的な日本国内の地方活性化の必要性や危機感を政府としても強く認識していることのあらわれではないでしょうか。

【法律の概要】
地方創生の目的・理念から、政府・地方自治体の戦略策定の方法、組織体制を定めたものです。今後我が国がまち・ひと・しごと創生を中長期にわたり取り組んでいくに当たっての、基本的な枠組みを示した「基本法的な」法律といえます。特に具体的な施策の策定は、目的と理念を定めた第1条と第2条の精神に従って策定されるため重要条文です。

では、この法律の重要条文である、1条2条を考えていきましょう。

(1)第1条の性格・特徴
「第1条
少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する。」

まず、「まち」「ひと」「しごと」が平仮名表記の法律はあまりないのではないでしょうか?創生法における「まち」・「ひと」・「しごと」とは、単に物理的な側面での「町」(又は「街」)・「人」・「仕事」ではありません。まち・ひと・しごと、それぞれの言葉に漢字表記では表現できない意味やイメージを持たせているといってよいでしょう。
まち・・国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を 安心して営むことができる地域社会の形成
ひと・・地域 社会を担う個性豊かで多様な人材の確保
しごと・・地域における魅 力ある多様な就業の機会の創出

また、「創生する」は地方を作り出すことと明示している。これは、これまでの地方分権のニュアンスとは幾千考え方が異なるものだといえます。

(2)第2条の性格・特徴
「第2条
①国民が個性豊かで魅力ある地域社会で潤いのある豊かな生活を営めるよう、それぞれの地域の実情に応じた環境を整備
②日常生活・社会生活の基盤となるサービスについて、需要・供給を長期的に見通しつつ、住民負担の程度を考慮して、事業者・住民の理解・協力を得ながら、現在・将来における提供を確保
③結婚・出産は個人の決定に基づくものであることを基本としつつ、結婚・出産・育児について希望を持てる社会が形成されるよう環境を整備
④仕事と生活の調和を図れるよう環境を整備
⑤地域の特性を生かした創業の促進・事業活動の活性化により、魅力ある就業の機会を創出
⑥地域の実情に応じ、地方公共団体相互の連携協力による効率的かつ効果的な行政運営の確保を図る
⑦国・地方公共団体・事業者が相互に連携を図りながら協力するよう努める」

上記は基本理念7箇条であり、第1条のまち・ひと・しごとに対する施策を展開していくよりどころとなります。また、努力義務ではありますが、法律に「事業者」と明記されていることは、「事業者」の協力が地方創生に欠かせない役割を担っていることを想起させます。
ひと・まち・しごと創生法は、地方自治体への補助制度ですが、地方自治体単体では、地域を創生することはできません。いかに、地域の担い手である農家や会社などの事業者が主体的に関わることができるのかどうか。それが最も重要になります。

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今後の日本の農産物の海外市場への輸出可能性を考える

こんにちは、農縁団の藤田です。最近の農業のニュースを見ていると、農産物の輸出が取りざたされていることがあります。今日本ではどんな農産物が輸出されていて、相手輸出国は、流通は等々・・そして「農産物の海外輸出をこれから事業としてやっていきたい!」。今回は、日本の農産物輸出の今後の展望について考えてみたいと思います。

始めに、どんな農産物が輸出されていているのか、主だったものを見てみます。農産物全体で見ると加工食品が5割前後を占めています。野菜・果物等は1割以下となっている現状です。また、主要相手輸出国を見ると、香港・韓国・台湾などアジア中心になっています。輸送や品質管理の問題も考えると妥当なところではないでしょうか。

次に、日本を取り巻くアジアを中心とした、海外に目を向けて見ます。農水省農産物統計によると日本の過去10年間の農産物の輸出はアジア諸国を筆頭に堅調な伸びを見せています。その原因の1つにアジア諸国の高い経済成長によって所得の水準も上昇し、美食意識や健康志向が高まってきていることが大きいでしょう。また、アジア諸国へ日本企業進出による海外日本人の増加や定年後のアジアへのロングステイなど海外の日本人の増加も考えられます。

さらに、長い伝統と高い技術水準に裏打ちされた日本の農産物は、海外においては、高級品質農産物と認知されています。今後オリンピックなどで、日本へ来る外国人観光客も増えれば、ますます日本の農産物のすばらしさが認知されていくでしょう。代表的なものには、青森リンゴ、神戸牛、新潟米コシヒカリなど・・・
また、最近、出始めている外国人に向けた日本の農産物のお土産ビジネス(相手国によっては、お土産として輸出できないものもありますので注意が必要です)も日本の農産物の認知度を上げてくれるはずです。

最後に、世界の経済政策や為替相場に目を向けてみると、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)や円安政策は農作物の輸出だけを考えると追い風でしょう。

日本を取り巻く環境的には、これから「農作物を海外に輸出する事業に乗り出したい!」という方、には最適の環境かと思います。

ただ、今後、輸出事業に参入するうえでのボトルネックとなるのは、やはり流通経路と現地販売先の確保だと思います。しかし、例えば、現在ホクレン通商やジェイロなどの機関では、様々な農家の日本の窓口となり、相手国との安定供給に資するため、全国各地の農作物を集約し輸送コストの低減をはかり流通経路の確保、相手国販売先への窓口になるような役割が期待されています。今後日本においては行政機関でも、このような取り組みを推進していく方向です。

そして、農作物の輸出自由化の度合いが大きくなればなるほど、我々も農家さんも絶えず相手国の人々のニーズを追及し競合他社に負けないような、高いマーケティング能力が求められていくでしょう。

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