網野誉公認会計士事務所代表
TS税理士法人代表社員
公認会計士、税理士
監査法人勤務12年 大手上場企業監査、中小企業上場支援及び経営改善業務等の実績多数
平成24年2月、表参道に網野誉公認会計士事務所を開業
創業支援、農業法人支援、管理会計導入、組織再編、等に注力
平成25年5月、東京都南青山にTS税理士法人を設立、代表社員に就任
経営者のみならず、従業員も幸せになれるよう、職業的専門化の立場からサポートしております。農業に従事されている皆様にも、満足していただけるサービスを提供できるよう、日々汗をかいております。
税理士として仕事をしていて度々いただくのが、「農業を個人で営むべきか、法人で営むべきか」というご質問です。
この点について、実は絶対的な答えというものは存在しません。個人事業主として農業を続ける良さもある一方、農業法人化して組織的に活動する良さもあります。最終的には法人化することのメリット・デメリットをご説明し、事業主様自身にご判断いただくことにしております。このホームページをご覧の皆様の中にも同様のお悩みをお持ちの方がいらっしゃるかと思いますので、農業法人化のメリット、及びデメリットについて述べたいと思います。
(以下、株式会社形態の採用を前提としています)
<農業法人化のメリット>
一般的に言われている農業法人化のメリットを列挙すると以下の通りです。
1.税制面で優遇されることが多い
(1)役員間の所得の分散により、節税が可能。
・役員に対する報酬については法人税法上も損金算入できるため、事業主から所得を分散することができ、節税につながります。
・役員に対する退職金についても法人税法上損金算入できます。
(2)法人税制の適用による定率課税で節税となる。
・中小法人の場合、課税所得額が330万円超800万円以下、あるいは900万円超で法人税の用が所得税に比べ税率軽減となります。
(3)欠損金の扱いが法人税法適用で有利となります。
・欠損金につき、9年間繰越控除ができます(個人事業主は3年間のみ)。
2.資金融資枠の拡大
・一般的に、個人に比べ法人は借入金等の融資限度額が大きくなっています。
<農業法人化のデメリット>
1.法人の設立に費用が掛かる
・株式会社では、会社作成に約30万円、司法書士に委任すれば委任料が15万円程度加算されます。
2.地方税の均等割負担額が大きくなる
・たとえば東京都の場合、個人地方税の均等割額が計4,000円なのに対し、法人地方税均等割額は70,000円以上になります(会社規模により異なります)。
3.相続税の納税猶予制度が適用されなくなる。
・農業後継者の農地相続には相続納税猶予制度がありますが、法人経営で構成員が所有する農地を法人に貸している場合、その構成員が死亡したとき、所有する農地を法人に貸していたことからその構成員の相続人は(その法人に貸してある農地について)相続税納税猶予が受けられなくなる場合があります。相続税評価額の高い地域では特に注意が必要です。
以上、農業法人化のメリット・デメリットにつき、税制面を中心に記述いたしました。事業主様方はこれらを参考にしていただき、納得のいくご判断をしていただければ幸いです。
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