現代の農業は下記のような多数の問題があります。これは農業という天候にもっとも左右されるなど特殊な事業であり、昔から事業の政策や体制に変化がないことが関係しています。そこで、若者を中心とした、新規就農者が減少し、一般的に農業者が減少しています。また、農家の方は「農業」として営んでいることが少ないので、問題点の解決があまりできていない農家が多数存在していることも原因の一つです。
そこで、上記の問題を解決・打開するために、国も様々な法律や施策を行ってきています。
<農業参入の3つの方法>
新規に法人を設立する場合 | 既存の法人を変更する場合 | 改正農地法を活用する場合 | |
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概要 | 異業種から農業参入する場合、既存の事業はそのままに、別に農業事業を行う法人を開始する方法。 |
異業種から農業参入する場合、既存の事業は辞めて、農業事業を行う方法。 | 既存の法人、新規の法人が農地を賃貸借する場合。 |
メリット | ・既存の事業に対する一切加えられることなく、農業事業を開始することができる。 ・農地貸借だけではなく、購入(所有権も取得)できる。 ・各種補助事業や制度融資など、農業生産法人でなければできない制度も利用できる。 |
・新規に法人を設立をしないので、設立に関する登録免許税や手数料が不要。 ・会計、決算が別々になることなく行えるので、事務処理工数にあまり変化がない。 ・法人税、事業所税が一つ分の会社でよい。 |
事業要件、構成員要件、業務執行役員要件、組織要件等農業生産法人の各要件が不要。 |
デメリット | ・新規に法人を設立するので、登録免許税、手数料がかかる。 ・別法人となるので、会計、決算が別になり、事務処理が増える。(但し、別の場合の方が、事業収支が分かりやすい場合もある。 |
・新規に法人を設立をしないので、設立に関する登録免許税や手数料が不要。 ・会計、決算が別々になることなく行えるので、事務処理工数にあまり変化がない。 ・法人税、事業所税が一つ分の会社でよい。 |
所有権を得ることができない。 |
農業法人:農業を営むにあたって法人形態にした組織のことで、農地の権利取得が可能な法人だけではなく、農地の権利取得が不可能な法人を含む法人を指します。
農業生産法人:農業を営むにあたって法人形態にした組織のことで、農地の権利取得が可能な法人のことを指します。
イメージは下記の図のようになっております。
今の日本の農業には、「組織力」が必要です。近隣諸国の間で、関税が撤廃されることにより、海外から安い農作物がたくさん入ってくることになり、日本の農作物が売れなくなる可能性が大いにあります。また、これからの時代、TPPに日本が参加しなかったとしても、日本の農業は、若者の就職率が低く、高齢化していることや、大手企業が農業に参入してきている事など、今の農家のように、家族経営、いわゆる「農家」として個人で営む状態では、勝ち残っていけない状態になっていると私は思っています。そこで、現状の農家の方が生き抜くためにはどのようにすればよいのでしょうか?!私自身の世代の若手就農家が増える「農業」を創るため、日々、これから「農」を通して、地域を日本を元気にしていきたい代表の方々の相談を行っています。テーマは「日本の未来の“働く”を考える!!」農業は弥生時代から続く業界であり、「働く」の原点であると考えます。
組織力のある農業が生き残る!!脱家族経営を目指す法人づくりを目指すことが、大切です。
法人化することのメリットとはなんでしょうか?!
経営面と制度面で下記に明記しましたので、参考にしてみてください。
1、経営管理能力が身に付く!
・経営責任に対する自覚を持つ。経営者の意識が芽生える。
・所有と経営の分離が徹底化される。どんぶり勘定ではなくなる。
2、対外的信用力が上がる!
・設立登記、決算報告など情報が外部に公表されることで、会社の存在や動向が明確になることで、取引上の信用力が向上する。
・法人となることでイメージが向上し、取引が増え、安心して労働者を就職させることができる。雇用等が促進される。
3、人材の確保・育成ができる!
・法人として後継者を確保する必要があるので、必然的に有能な人材を育成し、選ぼうとする。
・就農希望者が、外部からも入ることで、有能な人材を雇うことができる
・新規就農者は、初期負担なく経営能力や農業技術、農家の思い・信念等を学ぶことができる。
1、役員報酬を損金算入可能(法人税)
個人事業の場合の所得税は所得が高ければより高い税率になる累進税率ですが、会
社にかかる法人税は所得に対して一定の税率を適用するので、個人事業を行うより
も課税額が抑えられる可能性があります。
2、役員報酬は給与所得控除の対象(所得税)
会社が役員に対して報酬を支払うことにより所得が分散され、課税額を軽減するこ
とができます。
3、退職金の支給が可能になる
4、欠損金を7年間繰越控除可能(個人は3年間)
5、農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)の融資限度額が拡大 等
農業生産法人を設立するためには、いくつかの企業形態がありますが、一番一般的なものは、株式会社を設立することです。
それと対局をなす農業生産法人は、農業組合法人です。
では、どのような点が異なるのか対比した表を明記しましたので、下記をご覧ください。
○農業生産法人の比較
株式会社 | 農業組合法人 | |
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目的 | 商行為その他の営利行為 | 共同の利益増進 |
出資 | 制限なし | 制限なし |
構成員 | 1人以上(但し、農業生産法人の場合、農地法の要件有) | 農民等3人以上 |
議決権 | 1株1議決権が原則 | 1人1議決権 |
役員 | ・取締役1人以上(社員以外も可能) ・常時従事する構成員・理事の過半数は60日以上の農作業に従事すること |
・理事1人以上(組合員のみ) ・常時従事する構成員・理事の過半数は60日以上の農作業に従事するこ |
配当 | 出資株式に比例 | 利用分量・従事分量・出資分量の3種類 |
また、農業生産法人となるためには、法人設立後、農地法3条の許可を得る必要があります。以下、その要件について、明記しました。
①全部効率 利用要件 |
・権利取得後の農地全部について効率的に農業を行うことができると認められること。 ⇒経営規模や作付けする作目、機械の保有状況、農業に従事する人数・労働力、農業に関する技術など、総合的に勘案し判断する。 |
②農業生産 法人要件 |
ア)法人の組織形態要件(農業組合法人、株式会社、持分会社) イ)事業要件(主たる事業、農業関連事業) ウ)構成員要件(農地の権利提供者、農業の常時従業者、農作業委託農家、取引関係者等) エ)業務執行役員要件(業務執行役員※1、代表者※2。 ) ※1業務執行役員中、過半数は農業常時従事者でなければならず、さらにその過半数は農作業に60日以上従事しなければならない(ここでいう農作業とは記帳事務、集金などは含まれず、耕作又は畜産の事業に直接必要な作業をいう。) ※2代表者は農業常時従業者が望ましく、兼務者や兼業者には常時従業者と認められない場合がある。 |
③農作業 常時従事 要件 |
常務従事とは、原則150日以上農業に従事。 ※但し法人の場合は不要 |
④下限面積 要件 |
北海道⇒2ヘクタール 都府県⇒50アール |
⑤地域との 調和要件 |
耕作・養畜の事業並びに農地・放牧地の場所又は規模からみて、農地の集団化、周辺地域の農地・放牧地の農業上の効率的で総合的な利用の確保に支障をきたす恐れがあると認められる場合は許可されない。 |
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