われらまちの農縁団!!

プロフィール

朝日 智都

食楽研究所代表

大手保育園・学童の食育の責任者としての経験を活かし、幼児・小学生に対する食を通じた学習能力・思考能力の向上プログラムの作成、食イベントの企画・実行支援を行う。現在は企業向けの研修として「食育を経営戦略に」というテーマで講師をしている。 また、食のトレンドフードライターや食育イベント・メニューの企画・開発の経験を活かし、イベントやマルシェの企画・実行支援と、飲食店等の食育プロデュースやメニューや物販商品企画・開発などを行う。

コラム

教育現場の食育の現状と農業の可能性について

農業を食育活動、または体験学習として生かそうとする教師が、増えているという。


2002年度に「総合的な学習」が本格導入されたのを機に、農業体験を導入する小中学校が増えた。しかし、受け入れ農家に“丸投げ”するだけの教師も多くいるという。

この話を聞いたとき、私が保育園で働いていた時のことを思い出す。

保育園でも栽培に力をいれているところは多いが、職員のほとんどは農業体験を全くしていないため、土も触れないし、もちろん虫もダメ…
やはり職員の教育が先なのだろう。

しかも農業体験だけでは「体験学習」とは言えないのだが、食育を理解していな職員が多いのが現状だ。

その体験を生かすために、事前に興味がわくような体験をさせたり、終わった後に振り返りとして展開させたりしなければせっかくの貴重な体験もあまり意味がない。

そこに生産者の持っているスキルやノウハウが活かすべきではないのか。

農業のノウハウや、こだわりなどを伝えて体験させることで子どもたちが心と頭と体で農業を感じる…
そうすることで初めて「体験学習」をしたことになる。

高学年が低学年を指導する異学年交流や、収穫した農産物を高齢者に振る舞う福祉活動など、地域交流も含めた学習につなげる学校が増えてきた。

また大阪府の教育委員会と農業委員会で「農業・教育連携協議会」を発足させ、学童農園のシステムを確立したのをはじめ、埼玉県では、県内の全教員に県総合教育センターでの農業体験研修を必修化するなど、行政レベルでも積極的な姿勢が見えている。

農業界でも最近はさまざまな取り組みを初めているが、やはり単なるボランティアではなく、事業としても採算が取れる、少なくとも持ち出しにならないスタイルを模索している農業法人が多い。

ある肉牛肥育農場では、NPO法人と連携し、直営レストランでの試食交流など採算のとれる取り組み以外は、NPOの活動として切り分け、助成金を活用した農業体験事業を展開している。

また、栽培指導などソフト面を充実させ、1区画30㎡5万円の「農業体験農園」を成功させている農業者もいれば、県と連携してコテージ付きの宿泊型市民農園を運営している農業法人もある。

農業の価値は、農産物をそのまま販売するだけでなく、加工品にして販売するのはもちろんだが、農産物以外の農業技術や農地空間が、コミュニケーションや心の癒し、教育といったソフト面でのビジネスにつながる可能性を持っている。

農産物販売だけではない農業の価値を、農業界もそろそろ真剣に検討すべき時期ではないかと思う。

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